5-24.原子力発電所事故隠蔽の示すもの
(2002.11.19)
原子力発電所のトラブル隠しが、問題になっています。
夏と冬に、電力使用量のピークがあります。家庭や職場の冷暖房器具の消費電力のためです。
今年の冬は、原子力発電所の半数以上が停止状態のまま、冬を越さなければなりません。
原子力に頼ろうとしている国は、世界中で日本だけです。
原子力と言う怖ろしい怪物とは、縁を切るべきなのです。
眼に見えない放射能という問題だけに、不安は募ります。
更には日本社会、日本人は、どこまで「嘘つき」なのかと、厭きれてしまいます。
僕も工学専攻のエンジニアですし、日本人ですから責任の一旦はあるのかもしれませんが
このホームページで送っていますメッセージをご覧頂けば、問題が少しでも明確になると
願いながら、書いています。
まず、事故やトラブルは、無くす事は不可能です。
日本人は、そこから、最初から間違いを犯しています。
何か事故があると「有ってはならない事です。」これでは、問題は永久に解決しません。
事故は必ず有るのです。それを如何に小さな被害で留めるか、を研究すべきです。
また、事故の被害が余りにも人類にとって大きければ、その技術は使用しないことです。
人類がコントロールできないもの、フランケンシュタインや原子力発電は、作ってはいけません。
僕の別のページ、3-2.「技術バカ」で、原子力技術に付いて反対しています。
半減期(放射能の放出量が半分になる期間)が、何万年もかかる「放射性廃棄物」そんな
ものを、子孫に残すことは、犯罪などと簡単な言葉で言えないほど、重大な悪行です。
欧米のように、少しは「disclosure」される文化、国民性が有るなら、未だしもですが
全ては、玉虫色、有耶無耶、付和雷同、で解決しようとしても問題は深刻化するだけです。
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まず最初に、最近数年間の事故やトラブルを書き出してみました。ご覧ください。
出展:
(財)社会経済生産性本部エネルギー環境教育情報センター
http://www2.jnes.go.jp/atom-db/jp/index.html
住所:〒105-0003 東京都港区西新橋1−6−15 愛光ビル5F
電話:03-3593-0936 FAX:03-3593-0930
日本の原子力発電所の事故一覧
設 置 者 発 電 所 号炉 所 在 地 炉型 出 力 運転開始 トラブル内容
日本原子力発電 東海 茨城県那珂郡 GCR 16.6 66/07/25 97年度で廃炉予定
日本原子力発電 東海第二 茨城県那珂郡 BWR 110.0 78/11/28 手動停止H14.04.03
日本原子力発電 敦賀 1号 福井県敦賀市 BWR 35.7 70/03/14
日本原子力発電 敦賀 2号 福井県敦賀市 PWR 116.0 87/02/17 手動停止H11.07.12
手動停止H11.07.13
北海道電力 泊 1号 北海道古宇郡 PWR 57.9 89/06/22
北海道電力 泊 2号 北海道古宇部 PWR 57.9 91/04/12
東北電力 女川原子力 1号 宮城県牡鹿郡 BWR 52.4 84/06/01 手動停止H11.06.02
東北電力 女川原子力 2号 宮城県牡鹿郡 BWR 82.5 95/07/28 手動停止H14.06.20 H13.09.25
東京電力 福島第一原子力 1号 福島県双葉郡 BWR 46.0 71/03/26 トラブルH11.08.27
東京電力 福島第一原子力 2号 福島県双葉郡 BWR 78.4 74/07/18 手動停止H12.07.24
東京電力 福島第一原子力 3号 福島県双葉郡 BWR 78.4 78/10/12 制御棒駆動トラブルH14.10.11
東京電力 福島第一原子力 5号 福島県双葉郡 BWR 78.4 78/04/18
東京電力 福島第一原子力 6号 福島県双葉郡 BWR 110.0 79/10/24 トラブルH13.05.24 H12.07.21
東京電力 福島第二原子力 1号 福島県双葉郡 BWR 110.0 82/04/20 手動停止H13.01.15
東京電力 福島第二原子力 2号 福島県双葉郡 BWR 110.0 84/02/03 手動停止 H14.09.03 H13.05.07
東京電力 福島第二原子力 3号 福島県双葉郡 BWR 110.0 85/06/21 トラブルH13.07.06
東京電力 福島第二原子力 4号 福島県双葉郡 BWR 110.0 87/08/25 手動停止H12.07.25
東京電力 柏崎刈羽原子力 1号 新潟県柏崎市・刈羽郡 BWR 110.0 85/09/18 手動停止H14.03.04
東京電力 柏崎刈羽原子力 2号 新潟県柏崎市・刈羽郡 BWR 110.0 90/09/28 手動停止H12.06.29
東京電力 柏崎刈羽原子力 3号 新潟県柏崎市・刈羽郡 BWR 110.0 93/08/11 出力低下H14.05.07
東京電力 柏崎刈羽原子力 4号 新潟県柏崎市・刈羽郡 BWR 110.0 94/08/11 手動停止H12.12.04
東京電力 柏崎刈羽原子力 5号 新潟県柏崎市・刈羽郡 BWR 110.0 90/04/10 事故
東京電力 柏崎刈羽原子力 6号 新潟県柏崎市・刈羽郡 ABWR 135.6 96/11/07 手動停止H13.06.18
東京電力 柏崎刈羽原子力 7号 新潟県柏崎市・刈羽郡 ABWR 135.6 97/07/02 トラブルH14.04.26
中部電力 浜岡原子力 1号 静岡県小笠郡 BWR 54.0 76/03/17 手動停止H13.11.08
中部電力 浜岡原子力 2号 静岡県小笠郡 BWR 84.0 78/11/29 手動停止H14.05.27
中部電力 浜岡原子力 3号 静岡県小笠郡 BWR 110.0 87/08/28
中部電力 浜岡原子力 4号 静岡県小笠郡 BWR 113.7 93/09/03
北陸電力 志賀原子力 1号 石川県志賀町 BWR 54.0 93/07/30 手動停止H14.04.02
トラブルH11.12.10
関西電力 美浜 1号 福井県三方郡 PWR 34.0 70/11/28
関西電力 美浜 2号 福井県三方郡 PWR 50.0 72/07/25 自動停止H12.05.01
手動停止H12.04.07
関西電力 美浜 3号 福井県三方郡 PWR 82.6 76/12/01 手動停止H14.08.22 H12.11.15
関西電力 高浜 1号 福井県大飯郡 PWR 82.6 74/11/14 出力降下H13.04.19 H12.04.20
関西電力 高浜 2号 福井県大飯郡 PWR 82.6 75/11/14 トラブルH13.03.05
関西電力 高浜 3号 福井県大飯郡 PWR 87.0 85/01/17 トラブルH13.07.06
関西電力 高浜 4号 福井県大飯郡 PWR 87.0 85/06/05 トラブルH14.01.30 H12.10.02
関西電力 大飯 1号 福井県大飯郡 PWR 117.5 79/03/27 手動停止H12.12.04
放射性物質漏えいH12.11.30
関西電力 大飯 2号 福井県大飯郡 PWR 117.5 79/12/05 放射性物質漏えいH12.11.30
出力降下H12.07.07
関西電力 大飯 3号 福井県大飯郡 PWR 118.0 91/12/18
関西電力 大飯 4号 福井県大飯郡 PWR 118.0 93/02/02
中国電力 島根原子力 1号 島根県八束郡 BWR 46.0 74/03/29
中国電力 島根原子力 2号 島根県八束郡 BWR 82.0 89/02/10
四国電力 伊方 1号 愛媛県西宇和郡 PWR 56.6 77/09/30 トラブルH13.01.04 H12.10.13
四国電力 伊方 2号 愛媛県西宇和郡 PWR 56.6 82/03/19 トラブルH13.09.10 H12.05.26
四国電力 伊方 3号 愛媛県西宇和郡 PWR 89.0 94/12/15 トラブルH11.11.30
九州電力 玄海原子力 1号 佐賀県東松浦郡 PWR 55.9 75/10/15 出力降下H11.07.19
九州電力 玄海原子力 2号 佐賀県東松浦郡 PWR 55.9 81/03/30 トラブルH12.03.31
九州電力 玄海原子力 3号 佐賀県東松浦郡 PWR 118.0 94/03/18
九州電力 川内原子力 1号 鹿児島県川内市 PWR 89.0 84/07/04 トラブルH12.09.14
自動停止H11.08.25
九州電力 川内原子力 2号 鹿児島県川内市 PWR 89.0 85/11/28
合計 51基 4,390.3
六ケ所再処理工場で始まった「核燃料サイクル計画」
日本の原子力政策の枠組みであるこの計画が瀬戸際に立たされている。
燃やすプルサーマルが凍結状態に陥ったからだ
新型転換炉ふげん発電所」(出力16.5万kW)
出力降下 H14.08.28
燃料集合体からの漏えい(手動停止) H14.04.22
アニュラス部におけるトリチウム濃度の上昇(手動停止) H13.05.23
高速増殖原型炉「もんじゅ」(電気出力:28万kW)
試運転の1ステップである40%出力でのプラントトリップ試験のため出力上昇操作中、
2次冷却系配管室(Cループ)でナトリウム漏えいが発生した。
即ち、19時47分「中間熱交換器出口ナトリウム温度高」の警報後、火災警報、ナトリウム漏えい警報が
続き、運転員が「小漏えい」と判断して原子炉停止およびナトリウム緊急ドレンの操作が遅れたため、
漏えい、火災による影響が拡大し、漏洩点直下の室内換気ダクト、グレーチング(格子状の鉄製の床)などが
損傷し、また、ナトリウム化合物(エアロゾル)が拡散して、原子炉補助建屋総床面積の約10%相当の
部屋の床や機器に付着した。
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原発のない未来へ−原子力資料情報室CNIC(Citize mation Center)
原水爆禁止日本国民会議
陰でコソコソ、文句を言ってもダメです。
上記に、日本でも有数の原子力を真剣に考えている団体をリンクしました。
少しでも、出来ることをしましょう。
第一は、選挙で投票することです。
与党議員の大半が、小泉はダメだと言っているのに、政権が続くのは何故?
世論調査での支持率が高いからです。つまり国民・庶民が馬鹿なのです。
今でも70%もの支持率が有りますが、40%以上有ると、小泉は安泰なのです。
それは、日本が、民主主義国家では、無いからです。
日本人には、生きる希望や、生きる意味がわかっていないと思います。
もし、わかった気でいても、それは誤解の自由です。
「 IDENTITY 」という言葉の意味がよくわかっていません。
僕が原子力発電に反対だと言うと、アメリカは世界で唯一原子爆弾を使用したじゃないか
という方が大勢います。
これでは、対話は出来ません。
なぜ出来ないかが理解出来ない日本人が大多数だから、問題なのです。
日本民族ほど、自己中心的な民族は珍しい。
「島国根性」「井の中の蛙」ということです。
北朝鮮との問題にしても、感情論ばかり、朝鮮民族の気持ちを考えることが出来ない。
第2次世界大戦(日本にとっては太平洋戦争)も、日本が一方的に奇襲攻撃をしながら
未だにアメリカが悪いと信じている人が大多数、それは誤った教育が原因でもあるけど
それを是正、改善しない国民が悪いのです。
長崎、広島で原子爆弾で亡くなった方はお気の毒ですが、それがなかったら、日本は
アメリカの戦車やミサイルや戦闘機や艦砲射撃と、竹槍で戦おうとしていたのです。
その結果、どれ程の犠牲者が、どれほどの悲惨さが起ったか、想像してみてください。
アメリカが通常兵器での爆撃や、艦船からの砲撃を、を何度も何度も繰り返しても、
日本は莫大な犠牲者を出しながらも、黙って死んで逝った。
何か言えば殺されるのが、当時の日本だから、黙って死んで逝くのも解る気がします。
どっちにしろ、死ぬしか道は無かったのです。
その証拠に、アメリカ軍が進駐して来ても、歓迎はしても、抗戦した人は皆無でした。
その様に日本の国家権力は今も昔も、国民を蔑ろにする、無常な、非常な輩なのです。
それを変えるには、ヨーロッパの歴史を学んで、自由と平等を勝ち取った勇気を学ぶ
必要があるのです。
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皆さんは「JCOのプルトニウム臨界事故」を覚えていますか。
日本政府や関連企業や電力会社は、故意に事故が軽易であったように見せ掛けていますが
世界最悪の原子力事故だというのが、世界の認識です。
1999年9月30日に(株)ジェー・シー・オー(JCO)にてわが国初の臨界事故が発生し、
3名のJCO社員が多量の放射線被ばくを受け、2名が死亡した事故です。
3年前、町工場のちっぽけな作業場で、濃縮された高濃度プルトニウム溶液を、危険性も
教育されずに、バケツで運んで死んでいった作業者が悪いという報道さえありました。
親会社は、忘れ去られようとしていますが「住友金属鉱山株式会社」です。
日本の特徴(特長では有りません!)ですが、危険な作業や、事故が起きて困る作業は
別会社や、依託会社にやらせます。
このような無責任なシステムは、欧米には有りません。
労働組合や人権意識がしっかり、しているからでしょう。
「住友金属鉱山株式会社」のホームページをご覧下さい。
欧米の企業の従業員の多さに驚くことがあるでしょう!
日本の様に、子会社、孫会社、下請会社、孫請会社など人権を無視した組織は有りません。
日本の何グループ(=財閥)全体が、欧米では1企業です。
かくして、日本企業の安全性、無事故作業時間の異常な大記録がでっちあげられています。
その下で、陰で、日雇いや零細企業の正式な雇用契約もない尊い人命が亡くなっています。
僕が日頃、日本民族は冷酷だと言っている一端が、お気付き頂けるでしょうか。
最後に、京都大学原子炉実験所、第34回学術講演会・サテライトミーティング「JCO 臨界事故を考える」
における「小出裕章」氏の冷静的確な論文をご紹介して終わります。
残念なことに、この論文はネットから消されました。
科学技術は人類の幸せの為に有ります。科学技術の為に人間が居るのではありません。
我々は、主体性を持って、IDENTITYを持って、自由と正義と平等の為に戦う必要があります。