7-2.健全な精神は、健全な身体に??
(1999.07.20)
“mens sana in corpore sano ”は普通、
“健全なる精神は健全なる身体に宿る”と訳されるが、本来の意味は
“健全なる精神は健全なる身体に宿れよかし”ということである。
頑健な身体の持ち主がすべて健全な精神の持ち主というわけではないし、虚弱な身体の人で
健全な精神の持ち主であることも少なくないのである。
(中央出版社刊 現代精神衛生学ノート 村田忠良著 より)
「健全な精神は、健全な肉体に宿る!、だから・・」というふうに校長先生等が運動会や
スポーツ大会等で好んで使われていますが、是非ご注意下さい。
厳密には、身体的差別ともなりかねません。
つまり健全な肉体を持つ者が、必ずしも健全な精神を持つとは限らないからです。
また、どんなに健全な精神と肉体を持とうとも、そうでない人を思いやる気持ちが大切です。
特に障害を持つ人が疎外されがちな現代社会においては、切実な問題です。
こういうこともあります。人は誰でも年老いれば耳も目も手足も不自由になります。
また人生なかばにしてどんな事故や病気で、障害を負うかも分かりません。
そういうことへの慮りも、これから来る超高齢化社会、要介護社会を考えると、
思いやりの心を持つことこそが、大切だと思います。
教職者が、言葉の真意も確かめないで使う無責任さは、怖ろしささえ感じます。
教職者は、未来を担う子供たちを育んでいるのだ、という実感と責任を持って頂きたいと
思います。
そんな祈りもこめて、この言葉の本来の意味を、あらためて思いなおして頂ければと思います。