第15弾お絵描きワークショップ
「まる・さんかく・しかく で私をえがく」感想
 


参加者の感想
── 光島貴之 ──

今回は「抽象画にチャレンジ」ということでしたね。
自分の描いてきた絵は、抽象なのか、具象なのかについてヒントをいただきました。

導入の部分では、「まる」「さんかく」「しかく」の内のどれかを選び、 顔料マーカーでひたすら描くというのをやりました。シュールレアリズムの 自動筆記という感じでしょうか。

ぼくは、迷ったあげく「さんかく」を選びました。
なぜ「さんかく」を選んだかをみんなに発表しなければなりません。
前日「水都大阪」の下見に行ったこともあり、9月にやらなければならない 二つのワークショップを抱えていて、頭がいっぱいで、とても「まる」といった 穏やかな気持ちではありませんでした。気分は、ゆとりがなく、トゲトゲして いると思ったので「さんかく」を選んだわけです。

四つ切りぐらいの画用紙に15分間描き続けました。
講師の鈴木さんの狙いは、無心に描けということだったのだと思うのですが、 どうしても無心になれませんでした。画用紙を、斜めに置いて描き始めたという ところからして意図的ですよね。画用紙の方向を、いろいろ替えながら、左から 右へ、どうしても丁寧に描いてしまいます。

10分もたたない内に飽きてきて、大きく描いてみたり、続けて続けて描いてみたり、 サポートに付いてくれたKさんにも、全体の雰囲気などを確かめながら 進めていました。

隣では、SさんとTさんが、何か楽しそうな話しをしながらリラックスしてやって いる様子が伝わってきます。ぼくには、とてもこうはできないなぁと思っている 内に時間となりました。

今回のワークショップでは、新しい試みとして、お互いの作品を言葉で鑑賞して、 他の人がどんな作品を描いているかだけではなく、自分の作品もどんな 風に見えているのかを確認しながら進めることになっていました。けっこう ラフに描いている人と、几帳面な人に二分されているような印象でした。
ぼくは、その几帳面な方に属しているようです。言葉による鑑賞で、その あたりの自分の位置が確認できるというのもいいものです。

いつも鈴木さんのワークショップでは、自分の殻を打ち破るような仕掛けが、 あちらこちらに組み込まれています。どうもそのあたりが、ぼくは苦手としてい るようです。

さて、いよいよ本番。「まる・さんかく・しかく」にくり抜かれたボール紙の 型紙が配られました。大きなものから小さなものまで、それぞれ5段階ぐらいの ものが用意されています。描く画用紙は、先ほどよりも大きくなりました。

テーマがいくつか発表されて、その中から一つを選ばなければなりません。
ぼくが選んだのは、「前進と壁」。
このテーマに沿って「まる・さんかく・しかく」だけで自分を表現しなければ ならないわけです。

色は、絵の具を使うので、サポーターにこんな色をと伝えて作ってもらいます。
Kさんは、こちらの質問に的確に答えてくれて、ぼくの難しい注文、例えば 「元気な存在感のある赤」にも対応してくれました。

構図を考えながら、型紙を置き、色を塗っていきます。
筆に絵の具を付けてもらい、型紙のなかを塗りつぶします。
どうも、右下を塗り残してしまう癖があるようです。

ぼかしを入れるには、筆を寝かして、強くぬぐうようにするといいというような アドバイスも聞きながら進めていきます。
筆は使い慣れないのと、塗っている実感が指先に伝わってこないので、指で塗る 方がやりやすいかもと思いながらも、それでも筆で塗る楽しさも感じながら ドンドン塗りました。

赤い「まる」は、左から右に進んでいくぼく。
「さんかく」や「しかく」がその「まる」に突き刺さっています。
具体的な壁は描かず、壁のエネルギーというか、ぼくの前進をさまたげる力を 「さんかく・しかく」で描きました。

塗ったらすぐにドライヤーで乾かしてもらうので、3分ぐらいすると触って確認 できます。型紙のおかげで輪郭が際立ったからか、塗ったところが 盛り上がって、カッティングシートを貼ったときのように、クッキリと指に触れ るのがリアリティがあってうれしくなりました。

*描き終わって改めて感じたのは、ぼくの普段描いている絵は、たぶん、抽象と 具象の間ぐらいを進んでいるらしいということでした。

── 市本絢子 ──

私は今回、初めて創作ワークショップに参加しました。
参加前は非常に緊張していましたが、始まってみるとサポートさせて 頂いた方の創造力に圧倒され、芸術に真正面から取り組むことができました。

以前、鑑賞ツアーに参加させて頂いた時にも感じたのですが、言語コミュニケーションは 本当に難しいです。
相手の立場に立って、相手の心に寄り添って「対話」することの大切さ、難しさを すごく感じます。
今回のような、共に創作する機会においては、この事をより一層感じます。
でも、伝えようとする気持ち、そして同じ空間、同じ時間を楽しみたいという 意思さえあれば、素敵な時間を生むことができると思います。

今回のワークショップでは、たくさん刺激を受けました。
参加された方々の独特な感性にも驚かされましたし、それを伝えることの 難しさも感じました。
特に、酔っ払ったときに感じる色を「むらさき色」と表現されていたことが 印象的でした。

素敵なワークショップに参加させて頂き、ありがとうございました。

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