第18弾創作ワークショップ
「朗読〜物語からうまれる絵画のせかい〜」
 


参加者の感想
── ヨネダ リョウ ──

仕事で知的障害のある方とは関わりをもつのですが、今まで複数人の見えない人と 日常で接する機会がありませんでした。

特に何か先入観をもっているつもりはなかったですが、一緒にいさせてもらいながら、 ああ、こういう方もいるんだな、色々な方がいるなあと実感したので、 自分の持っているイメージはとても僅かだったんだなとわかりました。

ワークショップ中やその前後の時間も、スタッフの方、参加者のみなさんの関係が あたたかで、とてもいい場だなと思いました。

最近友人が朗読のイベントをしたりしているのもあり、またエンデの著作もちょうど 友達が読んでいた本だったので、関心がわきました。馬場さんの朗読は、少女の真摯な声が 特に僕の印象には残りました。

3人で感じたこと、考えたことを話し合ったときの時間はとても面白く、 個人的にはもうちょっと考えたくなりました。

物語のなかで、失われた「ことば」が隊列の人たちをして、大地に自分を表現させようと していることについて、自分なりに理解したかったのですが、ワークショップの時間もあり、 次の作業にうつったのですが、そういうのが考えるのが癖で、しばらくやっていることに うわの空でした。

自分のもったイメージや感じたことを明確にするのに僕は時間がかかり、 ちょっと時間内には表現できなかったので、絵の全体構想については、 あとのお二人の考えをきいてその方向性でいきました。

制作が終わり、みなさんの絵をみたときは、 こんな統一性のある絵にもできるんだなと驚きました。

鑑賞の際に絵を言葉で表現するとき、ああ、これがビューでいつもやっているやつなんだなと 思いました。
なかなか上手く言えなかったですが、質問をしてくださる方がいて、 質問をもらえるとそれを手がかりに表現できるなと思いました。

同じ絵を全く別の解釈で表現されるのも面白かったです。




── まつばら はるえ ──

  「どうしてもっと早く走らないの?
パーティーに遅れないことが私にとってどんなに大切なことか、 わかっているでしょう!!!」

「・・・なにやら隊列にまぎれこんでしまったのです・・・奥様 。 どうしてこうなったのかも、わかりません。・・・・ともかく 突然ここに” 連中 ” があらわれて、道をふさいでいるのです。」
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朗読家:馬場精子さんの落ち着いた、それでいて情感のこもった声が、 空気のすきまに入り込んで、心にずしっと響き渡る・・。

・・・お話がはじまりました。

わずか、5ページの物語なのに、ずっと昔から、そのおはなしを 聴いていたような気分になりました。

プロの方の朗読をラジオ以外で ”なま ”で聞くのは初めてです。
馬場さんの、老人や貴婦人、少年の声の使い分けの妙技が 大変すばらしかったです。

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暗い漆黒の闇夜の中に、発光する奇抜な衣装の隊列たち。
ダチョウに乗っていたり、奇想天外な帽子や衣装、 少年と少女の肩にかついだ棒には小ザルがチョコンと坐っていたり・・。

”その人たち” は、太古のむかし、”月や星や太陽のため”に ”途切れることのない芝居” をやっていました。

ある日のこと、”ある1つの言葉” がいつのまにか ” 彼ら”の中から 消えてなくなっていることに気づきます。でもそれが、なんという 言葉だったのか、彼らにはとんとわからないのです。

それ以来、すべてのものが ” 意味を生まなく " なってしまい、 芝居を続けられなくなってしまいました。
彼らはその言葉を求めて何世代にも渡り、ずっと、旅を続けているのです。

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なんとも幻想的で、意味深なミヒャエル・エンデのお話でした。
答えがわからないもの、もしかしたら答えのないもの、を、ずっと探し求めて生きている・・。 というのは人類がずーっと営んできている " 哲学 " のような気もします。

同じグループの方が、彼らの通ったあと = 軌跡が、”言葉そのもの ” なのではないか、 とおっしゃっていました。

スケールの大きなお話に、これをどうしたら絵にできるだろう・・、と 私たちのグループは若干、途方に暮れていました・・。

3人とも、共通していたイメージは、
『暗い漆黒の闇夜の中に、発光する、サーカスのような衣装の行列』 という幻想的なイメージでした。

ところが、その発光する行列を観ている自分たちの、「立ち位置」が 見事に 3者3様 だったのです。

・・おもしろい。

おひとりは、自分たちより頭上にその人達が歩いている、と想像しました。

もう、おひとかたは、自分はその行列を上から俯瞰して見ているような 感じがした、とおっしゃられました。

そして、私のイメージは、自分が行列にマギレこんでいて 一緒に歩いている感じだったのです。

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物語は、今の世の中は、断片だけからなりたっていて、どの断片も ほかの断片とは、もう関係がなくなっている、とも綴られていました。

それを絵で表現なさったグループもあり、『混沌』と『希望』を表現なさったグループもあります。
それぞれの耳から入った、1つの物語。
同じ言葉を聞いて表現された全く違った絵画。

面白かったです。
また、朗読から奏でる絵画・・・・絵画でなくても、それぞれの感性を経由した表現 (音楽とかダンスとかでも面白そう!!)のワークショップ、して下さい。

講師の鈴木ともこサンの物語のチョイスもセンスがあり、 とても良かったと思います。
今後も、楽しみにしています。

どうも、ありがとうございました。
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