制作サポート報告
(アートリンク・プロジェクト)




2006年1月
場所 山科身体障害者福祉会館など

あべこずえ報告──

制作サポート報告:アートリンク・プロジェクトから
アートリンク・プロジェクトに、ビューのお絵かきワークショップを通して絵を描くのが好きになったという白井翔さんとアーティストのアマカワユイさんとがペアになり、参加しました。
ビューはその制作サポートとコーディネイトをおこないました。

スケジュールはかなりハード
12月 白井翔さんの大学合格→顔合わせ→ペア成立→制作内容の打ち合わせ
1月 短期集中!3日で制作を行う
2月 展覧会

こうしてできあがった作品のタイトルは、『記憶の中の湖にもぐる』。
その制作プロセスを、展覧会で掲示したものを報告としてのせます。

※作品については、プチアトリエをご覧下さい。
※鑑賞ツアーの様子は、アートリンクプロジェクト鑑賞ツアー活動報告をご参照下さい。
 

《アートリンクのプロセス》

●作者の関係性の変化

お互いの意志やスタイルを尊重しあいながら、作品の交換を通して、徐々に関係が深まっていった。
こだわりや遠慮から、画材や色の表現について、行き詰まる場面もあったが、最終的には、それぞれが大胆に描き込むことができ、信頼関係ができてきた。

●制作に至る経緯
アマカワさんが平面による表現をするということと、白井さんが見えないということで、表現方法に悩んだ。
白井さんが触って確かめられる作品を描きたいとのことだったので、触感が楽しめる素材をいろいろ準備することにした。
テーマは、共通して読んだ本や、見えていた時の北海道の自然の記憶などが提案されたが、アマカワさんのたくさんの丸で構成されている作品を、白井さんが触って確認したことから、インスピレーションが広がり、湖に決定した。

●制作において特記したいこと
お互いの「色」について。
はじめは、アマカワさんから、白のみを使った表現をすることで、2人の世界が近づくのではないか?と提案。白地に白を重ねていく表現を行う。
しかし、白井さんは、色のない世界に住んでいる訳ではないし、むしろ色を使いたいとのこと。そこで積極的に色を使っていくことになった。
白井さんが描きたいものを言葉で伝える。(「湖の底にうつる島影」「夜の水面にうつる星影」など・・・)それをアマカワさんの持つイメージで色をつくり描き込む作業を行っていた。
また、白井さんの独特の色の世界も生まれた。「魚がはねる水しぶきの色」について尋ねられたアマカワさんが、「しぶきは、色よりもカタチをイメージすることが多い、白井さんは何色をイメージしますか?」と問うと、「もあもあとした金色の中に、赤や緑」との答え。
自分の思う色で表現したらいいと気づいた白井さんと、白井さんの独特の色の世界を発見したアマカワさん、それぞれの色の世界が確実にリンクしあった作品ができあがったのではないかと思う。

●作品のコンセプト
「湖」をテーマに記憶の中や自分の世界をさぐっていく。
製作中の二人
●作者の感想(作品について・このプロジェクトに参加して)
◇白井さん
絵でのコミュニケーションをとるのが難しかった。相手が描いたものに、描き込むのが難しいと思った。
最初は緊張したけれども、だんだん自分の感じをだせる表現ができてきた。
色を考えるのは、自分の世界に入って、記憶のずっと奥をさぐっていくので、とても集中しました。

◇アマカワさん
見えないことの可能性を感じた。白井くんが見ている世界を表現してもらいたいと思った。
白井くんの世界をわたされ、そこに自分の世界をどういれこむかが、難しいけれども面白く感じた。 あまりいろいろ考えすぎずに楽しんでやることで、インスピレーションが沸いてきた。
白井くんと色について、記憶をさぐっていくような感じが共有できてうれしかった。

●タイトル
<メインタイトル>
「記憶の中の湖にもぐる」
<サブタイトル>
「風の色」・「さかなのはねる音」・「かつての夕日」・「想像する朝日」
「星かげ」・「霧の中の息吹」・「波のうえに降る雪」・「はねのイメージ」
「湖の入口をさがす」・「辿りついた湖」  計10点
制作風景1 制作風景2
制作風景3
 
制作風景4 制作風景5
完成作品はプチアトリエでご覧ください
アートリンクプロジェクト鑑賞ツアーの報告
アートリンクプロジェクト鑑賞ツアーの感想



鑑賞ツアー目次へ

目次ページへ戻る