この手に、力を。
Determination.
「いいですか、離陸しますよ?」 シャトルを操縦ながらそう言ってくる兵士に、俺は一瞬躊躇った。 父上に捕まり、逃げようとした時にクライン派の兵士に助け出されたはいいが、このまま、プラントを離れていいものか……。 ……過ごした月日は短いけれど、プラントは俺にとって第二の故郷とも言うべき場所なのだ。 「アスラン様?」 促すように兵士がもう一度掛けた声に、俺は思いを断ち切るように首を振った。 「すまない、頼む」 そして、自分自身の意思で今度は明確な答えを返す。 悩んだって仕方がない。 もう、決めたことだから。 キラとオーブで再会したその時に、俺はキラと行くと……。 窓の外に見える懐かしい景色。 かつて自分の過ごした場所が次々と移っては消えていく。 そして、やがてそれは夜空に取って代わり、シャトルは宇宙空間へと飛び出した。 「俺は、行くよ。」 さようならプラント。 俺の故郷。 捨て置くのではない。 祖国が好きだから、祖国の人々を愛しているからこそ俺は行くのだ。 俺の国が間違った選択をしようとしているなら、俺はそれを止めなければならない。 状況に甘んじるのではなく 自らで切り開いて進む力を手に入れて、きっと導いてみせる。 だからそれまで ―――さようなら、プラント。 離れていくコロニー群。 俺はプラントに暮らす多くの人々思いながら、静かに目を閉じた。 Back≪ Top ≫Next ―――――― determination ◆英語:強い決意 ウィッシュへ続きます。 ここまでがパソの奥に埋もれていたデータの残骸(苦笑。 |