シンメトリーの少年
「なぜ君がここにいるの? アスラン・ザラ。」 「それはまた、ご挨拶だな。久しぶりに会ったっていうのに、もう少しマシな言葉はないのか。」 アスランがそう言うと、キラは少し思案してから、ニッコリと返した。 「ドウモオヒサシブリ。ゲンキダッタ?」 「………もういい。お前にマトモを求めた俺が馬鹿だった。」 アスランは大げさに溜め息をついてから、キラの手を引き歩き始める、―――が。 「痛っ!!」 突如、握られた手に、キラが悲鳴をあげた。 「な、に?」 大げさとも思える反応に、アスランが眉をひそめる。 自然とその視線はキラの腕へ。 「離せよっ!」 キラは手を振り払おうとしたが、いっそう強く握りこまれて、それは叶わなかった。 「キラ。これは、何。」 手首に付いた、無数の傷痕。 古く残るものから、つい今しがた付けられたと思しき生々しいものまで。 「何で、こんなっ!!」 「っ!」 声を荒げるアスランにキラが俯き、びくりと肩を揺らす。 その様子に内心舌打ちながら、出来るだけ優しく、呼びかけた。 「キラ。」 「………っ!」 「俺は怒ってるわけじゃない。だから、怯える必要はない。」 言いながらアスランが手を差し出す。 「―――?」 わけも分からないままにその手へ視線を向けたキラが戦慄いた。 |