「こ、れ。」
「そう。同じ、だ。」
静かにそう言ったアスランの表情は見えない。
差し出された手首には、無数の傷痕。
今の自分と、同じもの。

「ど、して……。こんな………」
震える声で問いかけるキラに、アスランは悲しげに微笑んだまま黙秘を続けた。
「君がっ! どうして?!」
悲痛な……悲鳴にも似た声。
アスランは辛そうに眉を寄せた。
「どうして、何も言ってくれないの……?」
アスランの指が、取り乱すキラの頬を滑る。
キラはそれを乱暴に振り払った。
「ねえ。アスッ!!」

「……キラは、どうなんだ?」
ようやく紡がれた言葉は、答えではなく問いだった。
あくまでも淡々としたアスランの口調にキラの苛立ちは増していく。

「質問しているのは僕だよ。アスラン。」
「……俺の事はいい。」
「よくない。」
逃げることはは許さないというキラの無言の重圧を感じて、アスランは曖昧な笑みを浮かべた。





不意に、顔が近づく。


唇がそっと重なる。



「あ………。」
―――誤魔化された。
短いキスの後、それ以上の追求を拒むように背を向けたアスラン。

キラは何も言うことが出来ずにその後を追った。





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