「なんて顔してるんだよ。」

酷い顔、とキラは苦笑した。
もっともそれは自分だって大して変わりはしないのだろうが……。

「アスラン、アスラン」

そう言ってキラが手招きをすると、アスランは導かれるままにキラに近寄った。

「うわっ!」

途端引かれる腕。
体制を崩したアスランはキラの隣に倒れこむように腰を下ろした。

「ッ! キラッ!」

なんなんだよと咎めようとしたアスランの肩にキラの頭が落ちた。
アスランが驚く暇もなく
今度はアスランの頭を自分の肩につけてお互いにもたれかかるようにする。
……互いの体から伝わるぬくもり。
その温かさに後押しされるようにしてキラがゆっくりと口を開いた。

「キミに会いに行ったんだ。」

「え?」

ポツリとこぼされた言葉。
それはアスランにとって予想もしないものだった。

「あそこに居ればまだ利用されること、分かってた。だから逃げてきたんだ。」

自分だけが受理されなかった除隊願。
内情を知りすぎているからとキラは艦から降りることも許されなかった。

……それでも、守りたいと思った人たちは、既にこの手を離れた。
もう守らなくてもいいのだ。
思うとおりに選んでもいいのだと……そう思った瞬間に浮かんだのは、ひとりの面影。
守りたい人がいるからとその手を振り払った自分の親友。
゛今さら会えないと思う心は、すぐに゛会いたいという思いに負け、心に波紋を広げる。

キラは、いてもたっても居られなくなって、気が付いたら駆け出していた。
アスランに会いたいその一心で。





Back or Next
Top