伊東静雄「反響」
わが家はいよいよ小さし


    春の雪


 
 みささぎにふるはるの雪
 
 枝透きてあかるき木々に
 
 つもるともえせぬけはひは
 

 
 なく聲のけさはきこえず
            もも
 まなこ閉ぢ百ゐむ鳥の
 
 しづかなるはねにかつ消え
 

 
 ながめゐしわれが想ひに
 
 下草のしめりもかすか
 
 春來むとゆきふるあした



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