北原白秋
 

「東京景物詩」より

  
 片恋




            きん
 あかしやの金と赤とがちるぞえな。
  
 かはたれの秋の光にちるぞえな。
  
 片恋の薄着のねるのわがうれひ
  ひきぶね 
 曳船の水のほとりをゆくころを。
  
 やはらかな君が吐息のちるぞえな。
  
 あかしやの金と赤とがちるぞえな。



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