大手拓次
『藍色の蟇』

湿気の子馬

  
  黄色い馬


 
 そこからはかげがさし、
 
 ゆふひは帯をといてねころぶ。
 
 かるい羽のやうな耳は風にふるへて、
         けなみ        は み
 黄色い毛並の馬は馬銜をかんで繋がれてゐる。
                                            らんだ
 そして、パンヤのやうにふはふはと舞ひたつ懶惰は
           つなぎ
 その馬の繋木となつてうづくまり、
     わら
 しき藁のうへによこになれば、
                     かて
 しみでる汗は祈祷の糧となる。