萩原朔太郎
『月に吠える』より

  
  盆景


 
春夏すぎて手は琥珀、
 め
瞳は水盤にぬれ、
 
石はらんすゐ、
 
いちいちに愁ひをくんず、
 
みよ山水のふかまに、
 
ほそき瀧ながれ、
 
瀧ながれ、
 
ひややかに魚介はしづむ。