萩原朔太郎
『月に吠える』より

  
  


 
つめたきもの生れ、
 
その齒はみづにながれ、
 
その手はみづにながれ、
 
潮さし行方もしらにながるるものを、
 
淺瀬をふみてわが呼ばへば、
     とほね
貝は遠音にこたふ。