立原道造「優しき歌
II
」
IV 夢のあと
《おまへの 心は
わからなくなつた
《私の こころは
わからなくなつた
かけた月が 空のなかばに
かかつてゐる 梢のあひだに――
いつか 風が やんでゐる
蚊の鳴く声が かすかにきこえる
それは そのまま 過ぎるだらう!
私らのまはりの この しづかな夜
きつといつかは (あれはむかしのことだつた)と
私らの こころが おもひかえすだけならば! ……
《おまへの心は わからなくなつた
《私のこころは わからなくなつた
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