山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 穀物の種子


 
と或る町の
 
街角で
                   た ね                      ば あ
戸板の上に穀物の種子をならべて売つてゐる老嫗さんをみてきた
 
その晩、自分はゆめをみた
 
細い雨がしつとりふりだし
 
種子は一斉に青青と
 
芽をふき
               づら
ばあさんは蹙め面をして
 
その路端に死んでゐた