山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 万物節


 
雨あがり
 
しつとりしめり
 
むくむくと肥え太り
 
もりあがり
                      た ね
百姓の手からこぼれる種子をまつ大地
 
十分によく寝てめざめたやうな大地
 
からりと晴れた蒼空
 
雲雀でも啼きさうな日だ
 
いい季節になつた
 
穀倉のすみつこでは
 
穀物のふくろの種子もさへづるだらう
 
とぴだせ
 
とぴだせ
 
蟲けらも人間も
 
みんな此の光の中へ!
 
みんな太陽の下にあつまれ