山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 或る雨後のあしたの詩


 
よひとよ細い雨がふり
 
しののめにからりとはれて
 
しつとりと
 
なにもかも重みがついた
 
ああ此の重み
 
そのおちつきが世界をうつくしくするのであるか
 
それだのに人間ばかり
 
何といふみすぼらしさだ
                                  うで
穀物の種子のふくろをだきだすその腕につたはる
 
あの重みだ
 
あの重みにみちみてよ
 
ああ人間
 
大地と太陽とのいとし子