人殺しをした人々の魂が、毎年きまったある月のある日の夜中に 墓の中から呼び出される。 そうして、めいめいの昔の犯罪の現場を見舞わせられる。 行きがけには、だれも彼も 「正当だ。おれのしたことは正当だ」 とつぶやきながら出かけて行く。 ……しかし、帰りには、みんな 「悪かった、悪かった」 とつぶやきながら、めいめいの墓場へ帰っていくそうである。 私は、……人殺しだけはしないことにきめようと思う。 (大正十年二月、渋柿)