寺田寅彦『柿の種』
短章 その一




 
 生来の盲人は眼の用を知らない。
 
 始めから眼がないのだから。
 
 眼明きは眼の用を知らない。
 
 生まれた時から眼をもっているのだから。
 
(大正十年三月、渋柿)


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