ひ ま わ り
向日葵の苗を、試みにいろんな所に植えてみた。日当たりのいい
ちりづか
塵塚のそばに植えたのは、六尺以上に伸びて、みごとな盆大の花を
たくさんに着けた。
しかし、やせ地に植えて、水もやらずに打ち捨てておいたのは、
たけ
丈が一尺にも届かず、枝が一本も出なかった。
それでも、申し訳のように、茎の頂上に、一銭銅貨大の花をただ
一輪だけ咲かせた。
この両方の花を比較してみても、到底同種類の植物の花とは思わ
れないのである。
植物にでも運不運はある。
それにしても、人間には、はたしてこれほどまでにひどくちがっ
た環境に、それぞれ適応して生存を保ちうる能力があるかどうか疑
わしい。
(大正十三年十月、渋柿)