凡ての裁判記録(傍聴した範囲内の記憶)を公開するに当たって一言。被害に遭われたら、泣き寝入りせずに。裁判に持ち込んでください。被害者の皆さんが、自分で出来る、範囲より半歩踏み出せば。被害者の権利が、加害者の権利因り、上に成ると思います。

民事判決|和解案

平成18年(ワ)第492号損害賠償請求事件(交)
原告 小西幸夫(小海要吉)
被告 (高野 毅, 星野 徹)
和解案
 平成19年12月14日
1 事案の概要
 被告は,平成15年12月13日午後5時5分ころ,夏用タイヤを装着した普通乗用自動車(新潟330り)を運転し、新潟県中頚城郡柿崎町大字竹鼻地内の最高速度が80キロメートル毎時と指定された北陸自動車道上り線377,4キロポスト付近の柿崎トンネル内を,長岡方面から上越方面に向かい時速約110キロメートルで進行中,前方の同トンネルの出口付近の路面が白く,積雪があることが予測できたのに,然上記速度のまま進行し,制動措置をとったため,前記トンネル出口を出た直後に自車を滑走させて左前方に暴走させ,折から道路左端を歩行中の原告に車両後部を衝突させ,原告に左下腿切断,右足関節開放骨折等の傷害を負わせた。
2 当裁判所の判断
( 1 ) 治療関係費(現時点の証拠関係による)   7,177,293円
 (ア) 長岡赤十字病院 入通院治療期間中の治療関係
@病院に対する支払治療費(甲27)         1,465,293円
A治療用(医療訓練用)仮義足製作費(甲27,53,54)
2,315,646円
  一般に,大腿切断者は入院中に医療訓練用として仮義足を作り,平行棒の中での歩行訓練から始め,次第に片方の杖歩行に進み,その後に仮義足を装着した訓練を行い,本義足製作に至るものであり,損害とみられる。
B杖購入代金  (甲27,55)              38,200円
C付添看護費  1日 6,500円× 14=         91,000円
 付添看護について,被告は,完全看護であるとして否認しているが,原告の傷害の程度。手術直後の状況(甲70)等を勘案すれば, 相当因果関係が認められる。
B入院諸雑費 (甲27)1日 1,100円×106=     116,600円
E通院交通費 バス代往復   680円×96=     65,280円
@,B ないしEは, 当事者間に争いがない。
(イ) 国立身体障害者リハビリセンター病院
      通院による治療関係費
@病院に対する支払治療費(甲17の1〜19)    302,400円
A交通費 (甲19)新幹線十電車賃17,000円×19= 323,000円
B宿泊費 (甲18 の1 〜17)             216,701円
C将来の治療費(甲57)                2,086,348円
 原告は,左大腿切断によって,骨,筋肉,神経,大小の動脈,静脈血管が組織の途中で切断されたもので,それによる血流障害は根治できず,一生続くところ,現在も2か月に1度通院し,経過観察と投薬治療を受けており,今後も続ける予定である上,甲57(医師の平成19年7月2日付診断書)で,今後も3か月以上の通院が必要とされる旨記載がある。
  被告は,@ないしCについて,平成18年4月12 日の症状固定日まで認めているのみであるが,甲16,57,70等によれば,その後も血流障害の治療が必要であり,損害と認められる。
(ウ) 縄文の杜関原パワーステーション 通所関係
@施設利用料 (甲20 の1,2) 1回 500円×186= 93,000円
A交通費     バス代往復     340円×186=63,240円
 被告は,@,Aについて,平成18年4月12日の症状固定日まで認めているのみであるが,原告は,リハビジを専門とする施設に通っているところ,その料金も不相当に高額という事情もないので,損害と認められる。
( 2 ) 義足製作費                  38,047,966円
(ア) 左大腿義足(常用)製作代金
       (ドイツのオットーボック社製 C‐Leg)
@製作代金(甲86の3,37)             3,979,817円
A将来の部品等交換代金(甲38)        22,039,839円
(イ) 左大腿義足(正座用)製作代金
@製作代金(甲36の2,37)             1,318,039円
A将来の部品等交換代金(甲40)         10,710,271円
 ドイツのオットーボック社製 C‐Legにはコンピューター内蔵の膝継手があるので,義足着用者が階段を下りる際,膝にかかる体重の移動について, 従来の義足にはない利便性があり, アメリカでは, 米軍の負傷者への標準支給品となっており(甲58),(ア)の義足についてC‐Legを採用することが相当である。瞭告は,上記のほかに左大腿義足(常用の膝の予備用)製作代金,左大腿義足(作業用)製作代金, 将来の部品等交換代金をも請求しているところ,労災補償法では,2義足分が認められていることも考慮すると,この数を超えて相当因果関係を認めることはできない。
( 3 ) その他の左大腿切断欠損障害に関わる損害費目
1,370,634円
(ア) 住宅内各所手摺り取付等改造工事代金(甲21の1〜3)
52,000円
(イ) 義足着用に伴う医療用消耗品代金( 甲22の1 〜 7 )
     5,000円×12×14.0939(25年ライプ)
845,634円
 原告が左大腿切断という重大な障害を負つたことを考慮すれば, 階段の一部分, 浴室及びトイレに手摺りを取付等することはいずれも相当である。義足着用に伴う医療用消耗品代金は, 切断部の皮膚を保護するために必要性, 相当性が認められる。原告は, 症状固定時56歳, 平均余命年数25年。
  原告は,上記のほかに義足着用に伴うズボン脇線チャック取付代金 円(甲23の1〜7)も請求しているが, 相当困果関係のある損害とは認めがたい。
( 4 ) 休業損害
 原告は, 株式会社小西鍍金(資本金1,000万円)専務取締役であるが,事故後の平成16年8月まで従前の報酬 円の支給を受けていた。同年9月から取締役報酬が 円に改定されたところ,会社の規模(常勤の役員3名, 従業員17名),代表者が実兄であること, 原告が200株中50株を取得していること,事故前後の極低温黒色クロム部門の利益状況,また,特に極低温黒色クロム処理技術に関連する原告の稼働状況等を考慮すると,役員報酬のうち労務対価性のある部分は月額 円(80%の月額 円とみるのが相当である。
  そうすると, 休業損害としては, 円−円)
 ×体業期間19ヶ月=
( 5 ) 逸失利益
 原告は,昭和24年 5月26日生まれで,平成18年4月12日の症状固定日54歳。他方,労働能力喪失期間の終期については,高齢者就労が可能な事業所であることは窺われるが,それが必ずし,常態とまではいえないこと,原告は役員ではあるが肉体的な負担の多い現場での就労が多いという実態があること, 原告の技術を代表者の痘,子を含む従業員へ伝え,後進に道を譲る意思も窺われること等を勘案すると,67歳をその終期と解することが相当である。
 原告の役員報 円のうち労務対価部分は, (4) のとおり, 円が相当であり,労働能力の喪失率については, 80パーセントとする点に当事者間に争いはない。
円×12ヶ月×80%×8.3064(11年ライプ)
                    = となる。
( 6 ) 入通院慰謝料
3,000,000円
( 7 ) 後遺症慰謝料
16,700,000円
後遺症は,4級5号該当
( 8 ) 確定遅延損害金
1,424,948円
 内払にかかる10,402,124円については,事故日(平成15年12月13日)から弁済日(平成18年9月8日)まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金が生じている(最高裁平成16年12月20日判決)。
    10,402,124円×0.05×2年270日=1,424,948円
上記合計
( 9 ) 一部弁済・(填補額)
19,138,448円
合計
(10) 調整金
5,000,000円
遅延損害金及び弁護士費用を考慮して
☆  支払額
新潟地方裁判所

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