凡ての裁判記録(傍聴した範囲内の記憶)を公開するに当たって一言。被害に遭われたら、泣き寝入りせずに。裁判に持ち込んでください。被害者の皆さんが、自分で出来る、範囲より半歩踏み出せば。被害者の権利が、加害者の権利因り、上に成ると思います。

刑事・判決文/判 決TOPICS

 17..確定                         (―)(5年)
 原票(訴)第号                           74
 平成17年日宣告 裁判所書記官
 平成17年(ワ)第
          判     決
 本 籍 熊本県熊本市
 住 居 北海道帯広市
          会 社 員
 
 昭和日生
 上記の者に対する業務上過失傷害被告事件について,当裁判所はす検察官,弁護人各出席の上審理し, 次のとおり判決する。
          主     文
 被告人を禁錮1年6月に処する。この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。訴訟費用は被告人の負担とする。
          理     由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成15年12月13日午後5時5分ころ,業務として普通乗用自動車を運転し,新潟県中頚城郡柿崎町大字竹鼻地内の最高速度が80キロメートル毎時と指定された高速自動車国道北陸自動車道上り線377.7キロポスト付近の柿崎トンネル内を長岡方面から上越方面に向かい時速約110キロメートルで進行中,前方の同トンネルの出口付近の路面が自く,積雪があることが予測できた上,当時,自車のタイヤが夏用タイヤであり,高速度で同出口付近に進入すれば,車輪が滑走し,操縦の自由を失うおそれがあったから,直ちに減速して,路面状況に応じた速度に調節するはもとより,ハンドル・ブレーキを的確に操作して急激な制動を避けるべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,直ちに減速せず,漫然時速約110キロメートルのまま進行を続け, 同出口の約26.5メートル手前に至って制動措置を講じた過失により,前記トンネル出口を出た直後に自車を滑走させて左前方に暴走させ,折から同北陸自動車道上り線377..4キロポスト先の道路左端を歩行中の被害者(甲)(当時28歳)に自車を急接近させて衝突の危険を生じさせたことにより,同人を路外草地に転落させ, さらに同所付近を歩行中の被害者(乙)(当時54歳)に自車後部を衝突させ,よって,前記被害者(甲)に入院加療約197日間を要する外傷性脳出血等の傷害を,前記被害者(乙)に加療約221日間を要する左下腿切断等の傷害を,それぞれ負わせたものである。
(証拠の標目)
(注)括弧内の甲又は乙及びこれに引き続く数字は,証拠等関係カードの検察官請求証拠番号を示す。
被告人の公判供述
被告人の検察官調書(2通・乙7,8)
被告人の警察官調書(5通・乙2から6)
被害者(甲)の警察官調書(甲2)
被害者(乙)の警察官調書(2通甲4,5)
同乗者の警察官調書(甲7)
実況見分調書(6通・甲14,17,19,21,23,24)
写真撮影報告書(4通・甲12,16,20,22)
捜査報告書(4通・甲11,13,15,18)
診断書(3通・甲8から10)
新潟県交通規制台帳抄本(甲25)
自動車検査証謄本(甲26)
(法令の適用)
被告人の判示所為は被害者2名につきそれぞれ刑法221条1項前段に該当するが,これは1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として犯情の重い被害者(乙)に対する業務上過失致傷罪の刑で処断するととし,所定刑中禁錮刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を禁錮1年6月に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予し訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
 本件は,判示のとおり業務上過失傷害事案である。
 被告人は,高速道路のトンネル内を,制限速度を大幅に超える速度で運転していたところ,同トンネルの出口付近に積雪があることが予測された上,自車のタイヤが夏用タイヤであったのであるから,直ちに減速するなどの措置をとるべきであったにもかかわらず,漫然と高速運転を継続するなどして本件事故を惹起したものであり,被告人の過失は大きい。本件被害者らは,本件直前の物損事故のため,各々の車両から降り,本件現場を歩行していたところを,突如として判示の重傷を負い,現在も後遺症等に苦しんでおり,本件の結果は重大かつ悲惨である。殊に,被害者(乙)は,前記物損事故についても被害者的立場にあったところ,本件によりかけがえのない左足を失い,不自由な生活を余儀なくされたもので,その心身に受けた損害は計り知れない。同被害者が本件後の被告人の対応が悪いとして厳しい感情を抱くのも理解できるところである。
 以上によれば,被告人の刑事責任は重いというべきである。
 もつとも,将来的には任意保険により被害者らに対し相応の賠償金が支払われる見込みがあること,被告人が被害者らに謝罪し,当公判廷においても真摯な反省の態度を示し,今後は被害者らに対しできることはしていきたい旨述べていること,前科のないことなど,被告人のために有利に斟酌できる事情も認められる。
 そこで,以上の事情を総合考慮し,主文のとおりの量刑をした上,今回に限りその刑の執行を猶予することとした次第である。
 (求刑 禁錮1年6月)
  平成17年5月9日
 新潟地方裁判所高田支部
                               裁判官 
      これは謄本である。
       平成17年

 新潟地方検察庁高田支部
                             検察事務官

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