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PBM覚え書き

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2月11日(火)

 DS2、ですけど。
 おととい速達でアクション出して、昨日アクション料金を振り込みました。
 アクションはこんな感じで。
 あまり意識したつもりはないんですが、書き上がってみればやっぱりNPCに勝手な願望を抱いています。処置なしです。
 現状ですと、「黒の月」は「悪い奴だから悪いことをする」という印象が拭えないので、もうちょいウィルダーネス及びエスペランサを浸食する理由を知りたいところです。

 あと、アンクラ絡みでメールが来ました。なんだかFA失敗やらアクション未提出やらな人に届くという汎用リアクションを集めているとかなんとか。
 およそ半年ぶりにログインしたんですが、確かに汎用リアクションが届いています。早速リア閲覧コードとやらを送り返しておきました。
 依頼メールにもいくつかリア閲覧コードがありました。ううむ、せっかくだからアクションかけてみようかしら。
 それとも、こういういい加減な気持ちでアクションをかけるべきではないんでしょうか。ことアンクラに対して。
 元はといえばアンクラのスキルアップ(恋のスキルアップ!)という姿勢に共感して参加を決めたわけですし、プレイヤー、マスター双方ともスキルアップ(恋のスキルアップ!)とは無縁なにぎやかしをするのはさすがに気が引けるというか。
 ならいっそ退会しちまえという話もありますね。はうあう、、、



2月13日(木)

 ネットワールド1月号、デモンスリンガー2の特集ページの扉イラストなんですけれども。
 その左下、どこかの一室に捕らえられている『夢見』"真なる予言者"アルテア姫、そのアルテア姫を拘束しているケーブルと思しきもの、左側にそのケーブルを留めている角材みたいなものがあるんですけど、これちょっとマニアックですよ。太いケーブル、たとえばφ50mmを越えるようなケーブルになると、こういう風に穴のあいた角材で乱れないよう留めておくのですよ。ええ、だから何だということは全くないんですけれども。

 「森のくまさんの謎」というテキストをご紹介。
 アクションだけで面白いアクションとでも言うべきでしょうか。
 リアクションの記述と一般的な知識から推測を重ねていき新たに生まれる新事実、というか。
 まあ一般的にはこんな怪しげな読みが通じるとは思えないんですが、いささか脚色過多なだけで、これくらいのことはしでかしてもいいのではないかと。
 意図的な邪推はかまわないんですけれども、やはりリアクションの記述という地に足をつけなければそれは妄想の域を出ないというか。

 で、DS2のシナリオ一覧なんてものをこさえてみましたが、別にゲーム全体を緻密に分析などという大それた願いなど抱いてはおらんです。
 基本的にはヨーコ様に関わる物語だけで十分とは思っていますが、せめて会誌に載っている分くらいは把握しておこうかと。
 そんなわけで、ヨーコ様に関わらない人には──というか僕以外には使えそうで使えない、中途半端な代物に仕上がっていくかと。
 むろん集められる情報は集めようとは思いますが、逆に情報に振り回されては本末転倒ですし。
 前作では全体を把握どころか会誌すら購入していなかったので、どんどんインナーワールドに突入というか。
 それでも結果的には満足のいくエンディングを迎えられてしまったのですが、ではもうちょっと頑張ってみたらどうなるんだろう、と。
 死馬を買いあさると良馬が集まるって故事がありますが、まさにそんな感じで。



2月18日(火)

 まずはじめにみなさまの心に留めていただきたいのは、未知の情報には二つあるということです。一つはマスターの把握している情報で、もう一つはマスターも把握していない情報というわけです。

 前者は、いわゆるプロットといいますか、とにかくシナリオの予定表の中に組み込まれているものでして、ターンが進むにつれて次第に明らかになっていくものです。場合によっては、アクションでもって「引き出す」必要があり、その条件を満たせなかったときには色々と困った事態になったりもするわけでして、ええ、それを回避するために私達はアクションでもって情報を集めようとするわけですね。
 先ほど私は「ターンが進むにつれて次第に明らかになっていく」という表現をいたしましたが、これはつまりですね、その情報が明確になる以前から、様々な形でその片鱗を見せているということなんですね。そしてそれらの片鱗というものは、得てしてリアクションに含まれているのがほとんどだということであります。
 「情報収集」というものは、ええ、これらの片鱗を集め、形にしていくという作業でして、プレイヤー自身が行うべきことなんですね。「話を聞く」とか、「資料を調べる」とかいうアクションによって、その片鱗を集めることはできても、最終的に統合するのはやはりプレイヤー自身であるということなんですね。
 誰にでもわかる形で公開されている情報というものは、つまりは誰でも知っていることでありまして、そういう情報に依存している状況では、どうしたってイニシアチブを取れず、結局は大衆に埋没してしまうんですね。これは何より私が忌避する状況というわけであります。

 さて、後者の話にまいりたいと思いますが、これはマスターの当初の思惑に含まれない情報というわけですね。こちらの情報は、アクションによって「作り出す」必要があるわけです。しかし私達は錬金術師ではありませんから、ゼロから生み出すことはできません。そこで私達が踏まえるべきは、第一にリアクションにおける記述であり、次に一般的な知識であるわけです。これに関しましては、私が先日にご紹介いたしました「森のくまさんの謎」というテキストを参照していただきたく思います。
 「森のくまさん」という歌の作詞をなさった方は、おそらくこのテキストにあるような物語など想像だにしていなかったと思われます。つまりはこのテキストは、先ほど私が申し上げました「マスターの当初の思惑に含まれない情報」ということになるんですね。
 このようにしてプレイヤー自身が「作り出した」情報がマスターに受け入れられた場合には、それが新しい物語の起点ともなりうるわけですね。これこそが私がメイルゲームに求めている一つの到達点というわけであります。

 とにかくですね、まとめますと、情報を「引き出す」のは、メイルゲームを楽しむための必要条件であり、情報を「作り出す」のが、メイルゲームを楽しむための十分条件であると、ええ、私は確信しております。
 以上が私の答弁であります、委員長!



2月20日(木)

 これはWebでぇっ、全国の人が見てるんです!
 ……と、ムネオ節になるのに深い意味はないんですが。

 情報を「作り出す」ことに関して。
 以前に『フリーアクションでは、その先に話があることをマスターに伝えるのが大事』と書いたのですが、これは別に自作選択肢に限った話ではないと思います。「その先の話」とやらをすべて考えておかなければいけない、というわけでもなくて、とにかくマスターに「このアクションを採用したら何か展開がありそうだ」と思わせるのがはじめの一歩というか。
 たとえば他の会社に商談を持ち込むとか、社内会議で新企画を提案するとかいう時には、まず相手に「この商談/企画に乗れば儲かりそうだ」と思わせないことには話が始まりません。
 この最初の商談や会議の時点で詳細まですべて決めておく必要があるかというと、必ずしもそういうわけではなく、相手の都合や要望にあわせて内容を変えることは必至ですから、むしろある程度の流動性があった方が望ましいくらいで。この時点で必要なものというと、大まかな方向性とその実現可能性、成功した場合の収益見込みくらいではないかと(この辺は「企画書の書き方」みたいな本を読んだ方がいいでしょう)。
 あまりたとえ話に傾倒しても本質を見失うだけなのでこれくらいにしておきますが、とりあえず「アクション=企画書」という認識はあながち間違ってはいないと思います。

 もちろんメイルゲームは遊びなのですから、仕事で作るような形式張ったものである必要はありません。さらに言えば、情報を「作り出す」必要もありません。僕にとっては情報を「作り出す」のがメイルゲームを楽しむ十分条件だとしても、それが万人に当てはまる理屈はありません。
 メイルゲームには様々なプレイスタイルがあり、それらが混在できることがメイルゲームの魅力の一つであると僕は思っています。しかし、一年前にも書いたのですが、どのようなプレイスタイルであっても、ある程度の自助努力が必要になるはずです。もう少し具体的に書くと、自分のプレイスタイルで楽しむための工夫が必要だ、ということです。



2月21日(金)

 ええと、今日は「バレッツ&バンディッツ 楽園の棺」 (秋口ぎぐる。富士見ファンタジア文庫)の登場人物をDS2のルールで再現してみます。
 いわば耳コピーのキャラメイク版というやつです。

 ……キリがないのでこの三人だけにしておきます。ディタとかも面白そうなんですが。
 前にもGAのミルフィーユを作ってみましたが、アクションの耳コピーと同様にキャラメイクの耳コピーも色々発見があって面白いです。
 たとえばバレッツの設定3「一匹狼である」なんですけれども、実際のバレッツは決して単独行動主義者ではなく、いつもミゲルという相棒を連れているし、情報源としてステラを利用しています。それでもバレッツは「一匹狼」なのです。
 迷路のような街路は悪党たちにとって格好の棲みかとなっている。彼らの多くは特定の犯罪組織に属している。悪党たちによる悪党たちのための組織だ。それぞれの組織は貧民街や商業地区、住宅地区などを縄張りにしている。組織は街で絶大な影響力を誇っている。街を統べる評議会には組織の息がかかっているし、大半の飲食店や商店は組織にみかじめ料を払っている。
 組織に属さない悪党は少数派だった。
 バレッツやミゲルはその少数派に含まれていた。
 組織の情報網には頼らず、独自に盗みの仕事をこなしていた。
 ……という具合に。
 で、こう考えると、「一匹狼である」という設定の解釈が広がったような気がします。「一匹狼=単独行動」という偏見に気づかせてくれたというか。

 この小説の世界観とバレッツ、ミゲルの解説は上記の引用文に含まれているので、ステラに関して。

 ステラは酒場の主人という立場を利用し、さまざまな事情に通じている。彼女の父親は異様に広い人脈を持っており、彼女はその一部を店とともに受けついでいる。
 彼女が事情通である理由は他にもあった。彼女自身の外見がそうだ。彼女を目当てに訪れる客の数は決して少なくない。客たちは彼女に対して、ついつい口をすべらせてしまう。
 ……という具合で。
 「市民なんてやること思いつかないよー」とか思っていたのですが、このステラをイメージソースにすればちょっと面白そうですね。トモミ姫のブランチで酒場でも開いて、冒険者たちに情報を流してはそのあがりを情報料として徴収するとか。もちろんプレイヤー自身があれこれと情報を集める必要がありそうですが、おそらくこの手の「情報提供キャラ」は需要があるでしょうし。需要があって供給がないところに着目するのは成功の秘訣かと。
 ただ、誰かと競合してしまった場合はちと厄介ですね。それこそ商売敵というか。営業努力をしなければかなり厳しい未来が待っていそうです。
 いっそフリーアクションでも仕掛けてみるとか。フリーアクションで会誌に載っている「アイテムショップ デノクニヤ」に絡んでみるとか。

 ちなみに、バレッツとミゲルは「借金状態」になっています。これも二人を再現するのには割と重要なファクターです。「借金を返すために、ヤバい橋でも渡らざるをえない」という動機をつけることができます。また、二人ともデモンスリンガーではないというのもポイントです。デモンスリンガーとは不死の存在であり、超常的な能力の持ち主です。不死であるということは、危険なことに立ち向かうということに対してなんのリスクもない(少なくとも「命の危険」に関しては無効化される)ですし、すでに超常的な能力を有しているなら、ミゲルのようにわざわざ鍛練を積んで武芸を極める必要もないでしょう。ミゲルは騎士であった先祖に憧れているから武芸を極めたいのであって、デモンスリンガーになることで一足飛びに力を得ることは望んでいないはずです。

 と、既存の選択肢から選ばなければならないキャラメイクでも、使い方次第ではかなりの情報量を詰め込めるのではないかと。
 ただまあこれも方向性の問題で、自由設定を細かく考えてからそれを規定設定に落とし込む(キャラメイクの耳コピーはこれに当たります)というのもあれば、とりあえず規定設定を作ってから、リアでの描写とかも含めて細かい設定を考えていくというのもあるかと。むろんどちらか限定というのではなく、ハイブリッドなやり方がむしろ一般的になるのではないかと。
 いずれにしても、規定設定と絡めておくと自由設定の採用率も上がるような気がする今日この頃です。自由設定は採用されるまでは自称ですが、規定設定は問答無用で公式設定になるのですから(「特定の組織のVIPである」みたく、補足が必要な設定はちと事情が異なりますが)。



2月24日(月)

 アクション耳コピー
 荻野目悠樹。「撃墜魔女ヒミカ」。電撃文庫。


《事前情報》
 斯哩矢空軍基地・第四航空隊に所属するヒミカ・シンドウ中尉は『飛行機に乗った魔女』と呼ばれている。それは、彼女の飛行士としての腕が超一流であることもあるが、もう一つ、もっと重要な理由がある。
 「自分のもっとも大切なものと引き替えに、どんな願いでも叶えてくれる」、というのが、彼女を魔女たらしめている噂の概要である。
 そんな彼女を取材するために、外国から新聞記者のエポ・ロングランがやってきた。他者に対して一切の興味を持たないヒミカはいったん取材を拒否したが、あきらめずに懇願すると、何を思ったかヒミカは取材に応じると言い出した。

《アクション》
 エポを偵察飛行に同行させる。適当な場所でわざと不時着し、一緒に避難する。エポはおそらくスパイであるので、用心深いとは思うが、身の上話をしたり、ボルツについての豆知識を披露したりして、打ち解けたように装う。もし油断したら、食事に秘薬を混ぜ、痺れさせる。

「昔、ある騎馬民族の英雄が大陸を席巻していたころ、その騎馬軍団はこうやって保存食の干し肉を食べたそうよ。牛の肉を冷凍乾燥させて、槌で叩き、臼で繊維状になるまで砕いておくの。その肉をお湯で戻すと二倍三倍に膨れあがるわけ。ボルツっていうの」
《リアクション》
「中尉はなんのために戦っているんです?」
「さあ」
「祖國のためですか?」
「私の祖國はむなくその悪い侵略國家よ」
「じゃあ、いったい?」
「なんのためかしらね。なんのためだと思う」
「……」
「とりあえず、私は空を飛べればいいの」
 杓で湯菜とわずかの肉をすくって、彼女は味見をした。
「もう食べられるわ。お椀をとって」
 立ち上がって、ふたつの椀を取ってきて、ひとつを渡した。
 ヒミカはそれに、肉をたっぷりすくって入れると、差しだしてきた。銃を持ったままで両手で椀を受け取った。
「熱いから気をつけて。よくさますのよ」
 言われるとおり息を吹きかけて、さましさまし湯菜をすすった。
「やっと私のつくったもの、口にしたわね」
「え……」
 ヒミカはやさしげな笑みをうかべた。その顔が、視界のなかで、火であぶられた蝋細工のように歪んだ。
※Web上で出力できないため、一部旧字体を新字体に改めています

 このあとエポ嬢がどうなるかというのは、まあ、実際に読んで確かめていだきたいところです。

 ええと、今回のテーマは……特にないです。あんまり耳コピーにもなっていないですね。「撃墜魔女ヒミカ」を紹介したかっただけ、ともいいます。
 こういう陰気くさいお話は大好物です。人智を越えた存在。欲望、憧れ、その他諸々の感情に突き動かされた者がそこに手を伸ばし、無惨に朽ちていく姿。美しくも哀しいです。
 このお話の基本的な世界観は、巻末インタビューによると「時代は第一次世界大戦前半あたり、舞台は満州」とのことです。
 で、ヒミカの属する斯哩矢空軍基地・第四航空隊には、女性将校が三名もいます。「全軍を通じても十人といない女性将校」の内の三名が、です。
 女の子が男社会に入るというシチュエーションはよくあるものですが、この話において、その理由はこう説明されています。

 そもそも女性兵士が増え始めたのは、空軍軍令部の宣伝政策の一環である。空軍はわけへだてなく女性にも門戸を開いているというわけだ。
 ただ、こと女性に関しては、軍首脳と現場では意思統一ができていない。現場では女性兵士をもてあましているのが実情だ。厄介者と考えるようになり、特定の部隊に集める結果となっている。当第四航空隊こそまさにそれだ。
 自分のキャラを特別な存在にしたいという気持ちは割と一般的なものだと思うんですが、「○○流××剣の継承者」だとか、「大変珍しいオッドアイの持ち主」だとか、いやまあそれはそれで別にかまわないんですけど、どうせならもっとゲームの世界観に根付いた「特別」になりたいなあ、と。
 「名前と口調だけ変えれば他のPCに置き換えても全然違和感がない」というのは、ゲーム内で個性を発揮できていないひとつの例なんですが、「とりあえずこの自由設定が通る(自分のPCがお手軽に「特別」になれる)なら世界観はどうでもいい」ってのじゃ、やっぱりそのゲームに参加する意義が薄いというか。
 アクション欄というのは非常に限られたスペースではありますが、逆に言えばその程度のスペースに収まる分だけ書けばいいわけで。原稿用紙数十枚に及ぶ超大作に挑む必要はないわけで。第四航空隊を「特別」たらしめる理由は、上記の通り五行に収まるわけで。

 あ、今回のテーマ考えつきました。「別紙の使い方」です。
 上記のアクションでは、ネタバレ防止のためにあえて目的を伏せていますが、それを付け加えても一般的なアクション欄には入る量だと思います。
 で、別紙に何を書くかというと、「ボルツの豆知識」です。主となる行動が食事に痺れ薬を仕込むことですから、それの助けにもなるような気がします。冷酷な印象があるヒミカにそんな家庭的な話題を突然振られたら、少なからず油断もしてしまうのではないかと。



2月25日(火)

 DS2の会誌(ネットワールド)が来ました、、、が、リアはまだです。早ければ今週中に来るかもですが、来週になってしまうかもです。投稿締め切りは28日必着なので、明日着かなければかなり厳しいですね。こちらの方言でいうと「容易じゃねえな」という感じです。
 「ストーリー行動」の欄に大まかなあらすじらしきものが載っているんですが、エインヘリャル敗北ってのはまあ予想通りで。でも次に出てきた女人軍ネメシセスは厄介ですね。感情的になっている人たちを相手にするのは気が滅入ります。
 ここはいっそのこと、ヨーコ様にみんなまとめてアンデッドにしていただくとか。素晴らしいですね。万事解決です。
 ……というのはまあ冗談ですが。

 で、会誌にヨーコ様のインタビューが載っていたんですけれども。

「次の質問だゾンビ。将来の夢は?」
「この世界に将来は無い。私が終わらせるから」
 とのことですが、この受け答えはちと変ですね。
 クサリクが訊いているのは、「ヨーコ様の将来」であり、「世界の将来」ではありません。それとも、世界を終わらせた時点で、ヨーコ様も消えてなくなってしまうということでしょうか。
 ヨーコ様ほどのお方の思考は私達のようなヒューマンごときに理解できるものではないのかも知れませんが、しかしそれにしても自身の消滅をも厭わない、というのは奇妙です。ヨーコ様が「黒の月」に洗脳されている証拠でしょうか。
 また、ヨーコ様は度々「世界を終わらせる」という旨の発言をなさっていますが、「世界を終わらせる」とは、具体的にはどうすることなのでしょう? ウィルダーネス及びエスペランサの生きとし生けるものを根絶やしにするというのでしたら、海賊の国などという辺鄙な場所にとどまっている理由などなく、ネメセシスだろうとなんだろうと手早く皆殺しにすれば済むことです。その程度、ヨーコ様のお力をもってすれば造作もないかと。また、殲滅が「世界の終わり」であるのならば、それと同時にヨーコ様がお隠れになるという理屈が成り立ちません。
 となると、海賊の国に攻め込んでいるのは、単に殺戮を楽しむためという可能性もあります。あるいはしもべを集めるためか。「捕らえた者を黒の月に寝返るよう誘う」という記述がありますから、人手を欲しがっているのは間違いないようです。しかし「黒の月」の目的が「世界を終わらせる(=個々人の将来など無意味にする)」のであれば、普通に考えれば「黒の月」に寝返る人間などいないでしょう。せいぜいが「『黒の月』に逆らってもどうせ無駄だから、いっそ全世界を道連れにしてやる」というやけっぱちな連中くらいかと。
 しもべを集めて何をなさりたいのかというと、それもまだわかりません。カゲヤのことを気になさっているご様子ですが、カゲヤとの遭遇は偶発的なものであり(もっとも、カゲヤにとっては必然的なものなのでしょうが)、ヨーコ様の真の目的ではないと思われます。カゲヤを気になさるのは、おそらくヨーコ様ご自身の意思によるもので、「世界を終わらせる」というのが、「黒の月」によって命じられたものであるかと。であれば、「黒の月」の目論見を探るには、カゲヤのことを調べてもあまり効果はないのではないかと。
 現時点で推測できるのは、「世界の終わり」とは、ヨーコ様一人では成し得ないこと、あるいは、ヨーコ様では成し得ない(もしくは困難である)ことであろう、ということくらいですね。必要なのが数なのか素質なのかがわかれば、もう少し色々と想像もできそうです。


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文責:並丼