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日本の五大姓の発祥について

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日本の古代においては物部氏が栄え、その後藤原氏・橘氏が天皇家より新しく氏を賜り多くの氏族集団が栄えてきました。  中世時代になりますと天皇家皇子が源氏や平氏として民に臣下されますが、平氏の台頭は著しく平氏にあらざれば人にあらずとまで言われた時代もありました。  やがて武家政治も終わり明治時代になりますと、氏は廃止され新しい姓・苗字を公式的にも一般的にも使用する時代になりました。  然し、日本民族の姓の発祥を見ますと源氏・平氏・藤原氏・橘氏及び菅原氏の家系を基に多くの新しい血縁関係が芽生え、現代の姓・苗字の繁栄を見る事ができます。  従って源氏・平氏・藤原氏・橘氏及び菅原氏の五大家系を、五大姓の発祥として以下に集約いたします。  注）以下の説明文は各種古文書を基にして作成したものです。

　　1.「源」姓の発祥

　　　　　　　　　（１）源氏の由来

嵯峨天皇に皇子多く、一々親王家を立つる時は、人民の苦しむ所とならんとの大御心より、この氏を賜い、臣下となし給う。 これ本姓の起源にして、一口に源氏と云うも、実際は十六流もあり。   まず第一に嵯峨源氏、仁明源氏、文徳源氏、清和源氏、陽成源氏、光孝源氏、宇多源氏、醍醐源氏、村上源氏、冷泉源氏、花山源氏、三條源氏、後三條源氏、順徳源氏、後嵯峨源氏、後深草源氏。 それぞれ その天皇の後裔なり。 分派氏族も非常に多し。

　　　　　　　　（２）清和源氏の由来

清和天皇皇子、長猷 長淵 長鑒 長頼 及び載子の四皇子、一皇女を初めとして、同じく皇子、貞固親王の御子 国淵、貞元親王の御子 兼忠・兼信、貞保親王の御子 国忠 国珍 基淵、貞純親王の御子 経基 経生、貞数親王の御子為善、貞真親王の御子 蕃基 蕃平 蕃固 元亮など、諸皇孫の後なり。  かく清和源氏にも、その流多けれど後世栄えたるは、経基王の後にて、他は殆ど現われず。

┌明国−行国−頼盛−行綱−定綱−光綱 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌頼綱┴仲政−頼政―――――――┬仲綱−宗綱−公綱−忠綱 　　　　　　　　　　　　　　　　　┌頼光−頼国┴国房−光国−光信［土岐氏祖］　├兼綱−頼茂−頼氏 清和天皇−貞純親王−源　経基−満仲┼頼親　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└広綱［太田氏祖］ 　　　　　　　　　　　　　　　　　└頼信−頼義┬義家┬義親−為義――――――――┬義朝――――――――┬義平 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　├義国┬義重［新田氏祖］　　├義賢−義仲−義高　　├朝長 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　└義忠└義康［足利氏祖］　　├義憲　　　　　　　　├頼朝┬頼家 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├義綱　　　　　　　　　　　　　　├頼賢　　　　　　　　├希義└実朝 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　├頼仲　　　　　　　　├範頼 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　├為宗　　　　　　　　├全成 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└義光┬義業［佐竹氏祖］　　　　　├為成　　　　　　　　├義圓 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├義清［武田氏祖］　　　　　├為朝　　　　　　　　└義経 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└盛義−義信−朝雅　　　　　├為仲 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（平賀氏）　　　　　　　　　　└行家

［清和源氏満政流］ 源満仲の弟、満政にはじまり美濃国八島郷を根拠として、周辺に勢力を広げ美濃源氏（八島氏族）として 栄える。 さらに飛騨、尾張、近江、三河などにも広く繁栄す。 尾張国春日井郡浦野邑からの重遠後裔の大族は尾張源氏（浦野氏族）、近江国高島郡善積庄より起こる 惟家の流は善積氏族と呼ばれる。

┌【浦野】重遠（浦野氏へ） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├重成──光成【原氏】 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├重忠【佐渡氏】 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├重定（山田氏へ） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ 【八島】満政─┬忠重─┬定宗──重宗─┬重実─┼時成【八島氏】【矢島氏】【小介川氏】【小助川氏】 　　　　　　　│　　　│　　　　　　　│　　　│ 　　　　　　　│　　　└定重　　　　　│　　　├実宗【上田氏】 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　│　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　│　　　└仲重 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　├重長【木田氏】【関田氏】【志内氏】【鈴木氏】【両角氏】【室住氏】 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　├重高【佐渡氏】 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　├重時【入江氏】【清水氏】【岡崎氏】 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　└重親──重俊【本間氏】【小島氏】【児島氏】 　　　　　　　│ 　　　　　　　├忠隆──斎頼──┬【善積】惟家（善積氏へ） 　　　　　　　│　　　　　　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　　├隆祐【富塚氏】【与利井氏】【周波部氏】【沢股氏】【羽仁氏】 　　　　　　　└忠国【栖間氏】　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　└忠清【藤野氏】

※上記の他、【重田氏】【柏谷氏】【山里氏】【川室氏】【飫富氏】は満政流を称する。

［清和源氏満季流］ 源満仲の弟、満季にはじまり近江国高屋荘、岸本荘、余呉荘などを本拠地として栄える。 京都の朝廷、鎌倉・室町幕府に対して、常に一定の距離を置いていたことがこの家系の 特徴である。

経基──満頼─┐　　　　　　　　　　┌成貞　　　　　┌光頼─┬為良──為道 　　　　　　　↓　　　　　　　　　　│　　　　　　　│　　　│ 　　　　　┌══満頼　　　　　　　　　├成実──尊知　│　　　└為則──為次 　　　　　│　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　│ 　　満季─┴══致公──致任──定俊─┼【高屋】為経─┴為貞──為房──┐ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　├季信─┬忠満──頼盛──忠弘　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　│　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　├忠政　├高行──清頼　┌貞満　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　│　　　　　　　│　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　├忠尊　├頼康──通定─┼貞綱　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　│　　　　　　　│　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　└兼源　└忠時　　　　　└頼綱　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　┌───────────────────────────────┘ 　　　│ 　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌景綱【平井氏】【粟田氏】【栗太氏】 　　　│　　　┌親実【小原氏】　　　　　　　　│　　【牛田氏】【梶田氏】【小椋氏】 　　　│　　　│　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　├実遠─┼定遠──【平井】重綱（遠綱）─┼実賢【山田氏】【梅林氏】【山上氏】【和南氏】【大町氏】 　　　│　　　│　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　└行房　│　　　　　　　　　　　　　　　├孝綱【小椋氏】【高岸氏】 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　└範広【御園氏】【岸本氏】【岸下氏】【林田氏】 　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　【石塔氏】【久田氏】【林氏】 　　　　　　　├【小椋】景実──実義【小椋氏】 　　　　　　　│ 　　　　　　　│　　　　　　　┌景義【高屋氏】【森氏】【米井氏】【米内氏】 　　　　　　　│　　　　　　　│ 　　　　　　　└【小椋】景遠─┼景房【小椋氏】【坂東氏】【奥氏】【樋口氏】 　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　├教房【小椋氏】 　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　　└宗実【柳氏】【河曲氏】【和田氏】

　      　　　　　　（３）村上源氏の由来

村上天皇の皇子致平親王、為平親王、具平親王、昭平親王 などの後なれど、後世栄えしは、具平親王のあとにして、 師房より顕房、雅実、雅定、雅通、通親など代々、三公に昇る。 これを久我家と言う。中院、北畠、三條坊門の如きは、その庶流にして、北畠家最も名あり。

┌通宗−通子（土御門妃・後嵯峨母） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├通具（堀川） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├通光┬通忠−通基−（九代略）−晴通┬通興 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　└通有［六条祖］　　　　　　　└具尭┬具起［岩倉氏祖］ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└有能［千種氏祖］ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├定通［土御門祖］┬通成 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　└雅家［北畠氏へ］ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　├通方［中院祖］ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　　　　　　┌俊房−師頼　　　　　　　　　　　　┌通親┴＝在子（後鳥羽妃・土御門母） 村上天皇−具平親王−源　師房┼顕房┬雅実［久我氏祖］−雅定−雅通┴通資［唐橋氏祖］ 　　　　　　　　　　　　　　└師忠├雅俊 　　　　　　　　　　　　　　　　　├顕雅 　　　　　　　　　　　　　　　　　├雅兼┬季房 　　　　　　　　　　　　　　　　　└賢子└定房−定忠−師季［赤松氏祖］ 　　　　　　　　　　　　　　　　（堀河母）

　　　　　　　 （４）宇多源氏の由来

宇多天皇の皇子、斎中親王 斎世親王 敦慶親王 敦固親王 敦実親王 行明親王 臣子などの後なれど、後世栄えしは、敦実親王の後最も栄え、雅信は一条左大臣、弟 重信は六条 左大臣と呼ばれる。

宇多天皇−敦実親王┬源　雅信┬時中−済政−資通−政長−有賢−資賢−時賢−有資┬＝経資［庭田氏祖］ 　　　　　　　　　│　　　　├扶義［佐々木氏祖］　　　　　　　　　　　　　　└信有［綾小路祖］ 　　　　　　　　　│　　　　└時方［五辻氏祖］ 　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　│ 　　　　　　　　　└重信−道方−経信（桂大納言）

　　　　　　　 （５）堂上源氏の由来

昇殿をゆるされた源氏の１８家。 村上源氏の十家（久我、中院、六条、岩倉、千種、久世、東久世、梅渓、愛宕、植松）   宇田源氏の五家（庭田、綾小路、五辻、大原、慈光寺）   花山源氏の一家（白川）   正親町源氏の一家（広幡）   清和源氏の一家（竹内）

　　　　　　　 （６）若狭の源氏の由来

東寺文書、正安二年五月七日、源国友の遠敷郡平庄打開輩次第に 「元は新武蔵守源 朝高、その子息 上野介朝国、云々、二郎大夫国友 云々、 昔、祖朝高より打ち開き候」と。

　　　　　　　　 （７）但馬の源氏の由来

太平記に「かの谷堂と申すは、八幡殿の嫡男 対馬守義親の嫡孫、延朗上人造立の霊地」と云い、元享釋書に「延朗は姓、源氏、但州 養父郡の人 大将軍義家四世の孫なり。父は義信、母は平氏」とあり。 又、美含郡安木村 天正二年の人名帳に源氏の氏名あり。

　　　　　　　  （８）石見の源氏の由来

海東諸国記に「正教。丁亥年、寿藺護送と称し、使いを遣わして来朝し、書して石見州住 右馬頭源朝臣正教と称す」と。

　　　　　　　  （９）筑前の源氏の由来

海東諸国記に「正家。丁亥年、寿藺護送と称し、使いを遣わして来朝し、書して筑前州相以島 大将軍源朝臣正家と称す」と。

　　　　　　　（１０）豊後の源氏の由来

源為朝、当国に流されて当国大野郷梨原村に到り、自ら海西 総追捕使と称し、諸城を攻め抜き、威を九州に振るう。 扶桑略記 及び 百練鈔に「久寿二年四月三日、源為朝、豊後国に居り、管内を威脅す。 よりて與力輩を禁遏すべき」の由、宣旨を太宰府に賜る。当時為朝は、梨原の人 尾張権守平時重の家に寓すと。

　　　　　　　（１１）肥前の源氏の由来

河上社文書、天福二年八月五日に「寄進大檀那常行三昧建立大願主比丘尼清浄、嫡男 佐兵衛尉源朝臣正尚、二男 左馬允源政家、三男 左馬允源政康、四男 河上宮講衆大法師隆？、兵衛太郎源政隆、 寄進大勧進河上宮定直講衆阿闍梨大慶明」と。   又、当国在庁官人としては、文治元年に源朝臣成実、長�ｪ元年に源朝臣 俊長などあり。   又、朝野群載、�ｪ仁三年の太宰府解に「肥前国前介源知」を載せ、 下って建武二年に源穏、定、増、長、契、乱、沙彌重範、沙彌道圓、 源高、源岩鶴などあり。これらは松浦党なり。

　　　　　　　（１２）大隅の源氏の由来

建久九年の御家人交名に「源大夫利家」とあり。

　　　　　　　（１３）陸奥の源氏の由来

陸奥国二戸郡天台寺（別当桂寿院）正平十八年五月四日鰐口に 「大旦那源信行」、元中九年三月鐘銘に「大檀那左馬権頭源朝臣守行」等見え、又、貞治六年十月三日の鰐口名に「六郎太郎源重盛」とあり。

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